盲導犬贈り続けた夫婦、最後の日 姉の遺志継ぎ毎年1頭

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北村浩貴
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 失明した亡き姉の遺志を継ぎ、毎年1頭ずつ盲導犬を贈り続ける広島市の夫婦がいる。体力の衰えや支援者の高齢化に直面し、今年で活動に区切りをつけることに決めた。感謝の思いを胸に26日、贈呈式に臨み、最後の1頭を大阪府内の男性(42)に贈る。

 西区在住の赤崎大(ひろし)さん(78)と帯子さん(70)は、「わこ盲導犬贈呈プロジェクト」の名で活動してきた。毎年秋、趣旨に賛同した菓子メーカーが卸すチョコレートを販売。収益の一部や寄付で盲導犬の費用を賄ってきた。

 もとは、プロジェクト代表を務める帯子さんの姉、故・井上わこさんが始めた取り組みだった。

 わこさんは1982年秋に交通事故に遭い、その後失明。不安や恐怖からアルコール依存症になったこともあったが、歌の大会で優勝し、演歌歌手の道へ進んだ。目の不自由な人を支援しようと、歌手活動の収益などをもとに、日本ライトハウス(大阪府)を通じて、89年から毎年1頭ずつ贈る活動を始めた。

 しかし2011年3月、わこさんが66歳で他界。23頭目が贈られた後のことだった。亡くなる数日前、病室を訪れた帯子さんに語りかけた。「続けてもらえる?」

 夫婦は支援者らと話し合い、継続を決意。「応援してくれる人もいたし、道筋もあったので」と振り返る。

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 とはいえ、1頭の育成には6…

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