ウミネコ飛び交う神の島 80年前の姿、貴重な映像

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浪間新太
【動画】ウミネコの島として取り上げられた島根県出雲市沖の経島(ふみしま)。現在もウミネコが飛び交う=浪間新太撮影
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 ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている島根県出雲市沖の日本海の無人島、経島(ふみしま)。80年ほど前の1938~43年に朝日新聞社が子ども向けニュース用に撮影したモノクロ映像「海猫の島」には、無数のウミネコが島を飛び交う様子が残されている。

今の季節だけ

 映像には、約4千平方メートルの島一面にウミネコが営巣し、産み落とした卵やかえったヒナが映る。

 ウミネコの生態を70年代から調査している出雲市文化財課によると、ウミネコは毎年11月上~中旬に、100メートル足らずの沖合にある経島近海に姿を現し、3月下旬から営巣を開始。4月ごろから産卵、子育てを始め、7月になると集団で離島し、姿は見られなくなるという。

 記者が4月、島が見渡せる海岸まで行ってみると、高さ20メートルほどの島の上空を、多くのウミネコが猫のように「ミャオミャオ」と鳴きながら飛び交っていた。市が毎年3月に海岸から島に向かって目視で実施している調査では、2010~19年の10年間で平均約1200羽が確認されているという。

 市は4月と5月には1日だけ上陸して卵や巣の数の調査もしている。市職員の原育也さん(44)は「ウミネコの様子は、現在も映像にある80年前とあまり変化していないと思います」。約20年にわたり調査に同行しているウミネコ生態調査専門調査員の浜田義治さん(76)は「70年代の調査開始から、卵や巣の数に大きな変化はない。経島の面積に対して、つくられる巣の数は飽和状態が続いている」と言う。

 経島は、なぜウミネコにこんなに人気なのか? 浜田さんにその理由を聞くと意外な答えが返ってきた。

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■決して有利な環境では……

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