生きるため働き、何もかも失った 警備員に起きた奇跡

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渡辺丘
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 米国の首都ワシントンにある約200世帯が暮らすアパートの夜間警備員、ムバクさん(27)は4月下旬のある深夜の勤務中、同居するいとこ(33)からの電話を受け、ぼうぜんと立ち尽くした。郊外の自宅が火事で全焼した。いとこの8カ月の赤ちゃんは4階のベランダから投げ落とされ、奇跡的に一命をとりとめたが、家財道具をすべて失った。

 小柄で穏やかな声のムバクさんは、アフリカのカメルーンで銀行員をしていた。2017年末、米国の大学院で会計学を学ぶため出国しようとしていたころ、政争に絡む事件に巻き込まれて、1週間拘束された。賄賂を払って釈放されたが、それが理由で父親は金融業の仕事を失い、銀行口座も閉鎖され、学資を送金できなくなった。

 ムバクさん自身は厳しい審査を経て米国に入国したが、大学院入学は辞退せざるを得なかった。母国の家族を支えるため、週5日、休むことなく懸命に働いた。

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 それから1年以上が過ぎたこ…

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