特殊詐欺の抑止に期待 残る地下化の懸念 水戸地裁判決

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編集委員・吉田伸八
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 指定暴力団住吉会系組員らによる特殊詐欺事件をめぐり、茨城県内の被害者3人が住吉会の最高幹部を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、水戸地裁は最高幹部らの「代表者責任」を認め、実際に現金をだまし取られた2人に対して計605万円を支払うよう命じた。この判決がもたらす意義とは――。

 警察幹部は今回の判決を「画期的で、たいへん意味がある」と評価し、暴力団による特殊詐欺を抑止する効果があるとみる。今後、特殊詐欺に関して他の暴力団のトップの民事上の責任を追及していく道を開く可能性があると期待する。

 今回の判決は暴力団対策法31条2項の威力利用資金獲得行為の規定に基づき代表者責任を認めた。警察幹部によると、恐喝などの犯罪と違い、被害者に対する暴力団の威力の利用が限定的な詐欺について認めた、初の判断とみられる。

 特殊詐欺の受け子探しを指示された男が、直接暴力団員の威力を示されていなくても、暴力団員であると認識して恐怖心を抱いていたことが「威力の利用」にあたるとの判断だ。

 シノギと呼ばれる資金獲得活動について、末端の組員が暴力団の威力を「利用すること」を幅広くとらえ、組織のピラミッドの頂点にいる暴力団組長の責任を認定した意義は大きい。

 これまでも、暴力団が関与し…

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