長崎市の私立高校の男子生徒(当時16)が自殺し、学校側が設けた第三者委員会がいじめとの因果関係を認める報告をまとめたにもかかわらず、学校が半年にわたって受け入れを拒否している。法律は遺族に対応を示した上で自治体に報告するよう定めており、文部科学省の担当者は「違法状態」と指摘している。

 「報告書は重いものだと思っていた。そこまで信じないという姿勢は、教育者としてどうなのか」。男子生徒の三回忌にあたる4月20日。現場となった長崎市の公園で献花した母親は、そう語った。手向けたのはカーネーション。母の日を忘れなかったという息子が、よく贈ってくれた花だ。父親も「命が軽んじられている。誠実さが全くない」と憤った。

 この前日、学校側の弁護士から「ご連絡」と題した23ページの文書が届いた。第三者委の報告書について「遺書などについての十分な考察がされていない」「明らかに論理的飛躍がある」などの理由で「問題がある」と書かれていた。報告の内容に疑問があり、認定は受け入れられない意向を伝えてきた1月と同様の意思表示だった。

 男子生徒は2017年4月に自殺した。弁護士と臨床心理士、校長経験者の計5人からなる第三者委が1年4カ月ほどかけ、生徒延べ約70人、男子生徒の担任など教師ら学校側の約30人にアンケートやヒアリングを実施。36回の協議を重ねて18年11月、64ページの報告書にまとめ、学校に届けた。

 報告は、男子生徒が中高一貫校…

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