扇子の揮毫、言葉選びには葛藤も 藤井七段の揮毫は……

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杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

 棋士が持つ小物といえば、やはり扇子。対局中に開いて仰いだり、手に取って読みのリズムをとったりします。

 6月9日、私の八段昇段と名人戦順位戦昇級の祝賀会の記念品で扇子を作りました。四段以来、今回で5回目。ちょっと揮毫(きごう)の文字にも困ってくるころです。ちなみに、七段昇段時の揮毫は「不撓不屈(ふとうふくつ)」。諦めないことが自分の信念です。

 白扇子へ直接書く揮毫は正直なところ、かなり大変です。紙がでこぼこで、扇子の竹の部分に筆が引っかかりやすいからです。ちなみに横線より縦線が多い方が構造上書きやすく、私はそれを意識した文字を選びます。

 画数が多すぎて筆で書きにくかったり、うまく書く自信がなかったりする場合は残念ながら断念します。他の棋士の揮毫が何なのかも意識します。参考にするため? いや、揮毫がかぶらないようにするためです。他の棋士と同じ言葉でも良いのですが、分かっていると何となく気兼ねしてしまうものです。

 今回はどんな言葉にしようか…

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