第4部:脱「車会社」に挑む(中)

 トヨタ自動車の成長を支えた要因の一つに強固な国内販売網がある。全国の販売店は約5千店で、そのほとんどが地域ごとの独立経営だ。高級車のトヨタ店、中型車のトヨペット店、大衆車のカローラ店、若者向けのネッツ店の4系列が競ってきた。この体制が転機を迎えている。

 2018年11月。トヨタは、25年までに全販売店で全車種を併売する方針を発表した。4系列の事実上の一本化を意味する。

 すでに人気の高いプリウスやアクアなどはすべての系列で売られている。だが、扱う車の差がなくなれば販売店間の競争がより激しくなるのは必至だ。「淘汰(とうた)が進む」。ある販売会社首脳は気を引き締める。

 「一升のマスには一升の水しか入らない」。高度成長期にトヨタの販売戦略を支えた故・神谷正太郎氏は販売店を「マス」、販売台数を「水」にたとえ、店の数を増やして競わせれば、より多くの車が売れると説いた。右肩上がりの時代はその戦略が奏功した。

 だが、局面は変わった。トヨタ…

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