浅沼愛
米軍の演習場建設やベトナム戦争、被爆地などをテーマにした作品で、戦後日本社会に強いメッセージを放ってきた粟津潔(1929~2009)の企画展「粟津潔 デザインになにができるか」が、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1丁目)で開かれている。粟津が60年にわたって手がけた作品を通し、デザインのもつ可能性を知ってもらう企画だ。
日本宣伝美術会展の入選作で粟津の出世作となった「海を返せ」(1955)は、米軍の射撃場建設で漁場の海を奪われた、九十九里浜(千葉県)の名もない漁師の肖像画。顔にいくつものシワが刻まれた男性が口を固く結び、怒りや悲しみが入り交じったような表情で正面を見つめる。
「GO!1500.000」(1966)は、真っ白な背景の中央に大胆な赤文字で「GO!」「1500.000」と描かれたポスター。近づくと、小さな文字の、こんなメッセージが読み取れる。「広告費は150万円かかります どんな方法でもけっこうですからお金を送ってください ワシントン・ポストにベトナム戦争反対の新聞広告を出すためです」
原水爆禁止日本協議会のポスタ…