きっかけは韓国の「限界」発言 元徴用工問題で仲裁要請

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鬼原民幸 ソウル=武田肇
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 韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決をめぐり、日本政府は20日、日韓請求権協定に基づいて、第三国を交えた仲裁手続きに入ることを韓国政府に要請した。李洛淵(イナギョン)首相が政府の対応に「限界がある」と発言。日本政府は、2国間の協議に韓国が応じない状況を放置できないと判断したが、今のところ韓国側が仲裁手続きに入る気配はない。

 元徴用工らへの賠償問題をめぐっては、日本は日韓請求権協定によって完全かつ最終的に解決したとの立場を取り、韓国政府に日本企業に被害が及ばないようにする措置を求めてきた。1月に日本政府が協定に基づいて協議を要請したが、韓国政府から回答はなかった。

 こうした中、原告側による日本企業の資産差し押さえの動きが進んだ。5月1日には資産を売却する申請を申し立てたと原告側が発表。日本政府は20日、仲裁手続きに踏み切った。

 同日午後には外務省の秋葉剛男事務次官が南官杓(ナムグァンピョ)駐日韓国大使を同省に呼び、韓国政府は仲裁に応じる協定上の義務を負っていると伝え、応じるよう強く求めた。

 仲裁手続きは日韓請求権協定で定められたもので、実際に要請するのは1965年の締結以来初めてとなる。仲裁委員会は日本と韓国、第三国の委員で構成される。外務省関係者によると、日本政府は同日、日本側の委員を任命。韓国側が委員を任命した際に、誰を任命したか明らかにするという。

 協定に基づけば、韓国政府は30日以内に委員を任命することになっており、6月18日が期限となる。韓国政府が委員を任命すれば、両国で第三国の仲裁委員を選ぶ手続きに入る。

 日本政府が仲裁手続きに踏み切った背景には、李首相が15日、政府としての対応に「限界がある」と発言したことがある。

 河野太郎外相は20日、参院…

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