弱火でじわじわ、パリッと黄金色に 鶏もも肉のソテー

ごはんラボ

編集委員・長沢美津子
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ごはんラボ 鶏もも肉のソテー

 「焼く」の2回目は、人気素材の鶏もも肉です。手持ちのフライパンでも、火加減の調整で十分に肉の持ち味を引き出せます。

 理想は皮を香ばしく、肉はふっくら。フライパンに皮を下にして肉を入れてから火をつけ、弱火でじわじわ加熱していきます。皮は脂質が多いので熱で脂が溶け出し、その脂がさらに皮を黄金色に焼いてパリッとした食感に。一方の肉は、水分量が生の状態で約70%あります。水分の蒸発を抑えながら厚みの中心まで火を通すにも、弱火がいいのです。

 焼き時間の合計は13~15分。もも肉で筋が多いのは足先側で、ここに切り込みを入れておけば、反り返るのを防げます。皮の側から8割方火を通しておき、硬くなりやすい肉側は、さっと蒸し焼きにして仕上げる。出た脂を除くと、すっきりした味わいになります。

 塩味は軽めに。皮に振った塩は焼く途中で流れ落ちるので、仕上げにも少々。これで味が決まります。(編集委員・長沢美津子

監修・料理:有馬邦明

写真・図版

調理科学 :香西みどり

【材料(2人前)】

□ 鶏もも肉 1枚(300g)

□ 塩

□ コショウ 少々

□ オリーブ油 小さじ1/2

□ 水 大さじ3

【道具】

□ ペーパータオル

□ フライパン

□ アルミホイル

□ 菜箸かフライ返し

【作り方】

①鶏もも肉の表面の水気をペーパータオルで拭く。皮を下にして置き、はみ出た黄色い脂肪を包丁で切り取る。中心部に白い軟骨が残っていたら刃先を差し込んで切り取る。

ここから続き

②肉に切り込みを入れる。白い筋が走っているのが足先側で、筋に直角に3~4cm間隔で3本切り込みを入れる。下味の塩は小さじ1/4。肉の側に塩の半分とコショウ少々、皮側に残りの塩を振る。なじむまで2~3分おいて皮側の水分はもう一度拭いておく。

③フライパンにオリーブ油を入れ、鶏もも肉を皮を下にして置く。肉を動かして油を皮の全面につける。点火して弱火にする。

④5分ほどで鶏の脂が溶け出し音がしてきたら、アルミホイルを肉が隠れる大きさにしてかぶせる。さらに5~6分で皮全体に焼き色がついたらホイルを取り、フライパンを傾けて火を少し強める。皮側の余分な油分を切ってペーパータオルで吸い取る。

⑤肉を返して鍋肌から水を入れる。フライパンを軽くゆすって鍋に付いた鶏のうまみを溶かし、2分ほど蒸気を立たせる。皮に塩小さじ6分の1を振る。肉を皿に盛り、残った汁を煮詰めて肉にかける。

【動画】鶏もも肉のソテー=合田昌弘撮影

【アレンジ】

◆バターしょうゆソース

 もも肉を同様に焼き、仕上げに皮に塩を振る代わりにしょうゆ小さじ1/3、バター小さじ1の順で入れて肉にからめる。食べやすい大きさに切って、好みでトマトやハーブ(写真はローズマリー)を添えても。

Cookery Science

 厚みのある肉をジューシーに焼き上げるには弱火を使う。肉のたんぱく質は高温ほど大きく縮み、筋原線維の間にある水分を抱えきれなくなって肉汁が外に出てしまう。強火では肉の中心まで火が通る前に表面からパサついてくる。

粒の大きさで、塩使い分け

 店頭には様々な塩が売られていますが、効果的な使い分けはあるのでしょうか。

 「かさ密度の違いをご存じですか」と、塩事業センター海水総合研究所(神奈川県)所長の吉川直人さん。

 同じ「小さじ1」でも、特にさらさらして粒の小さな「食塩」は6.5g、フレーク状や湿った塩はふわっと詰まるので4.5gと差があります。塩によって利き方が違うと感じる原因になり、漬物のように塩をたくさん使う場合は、重さを量ると確実です。

 吉川さんによると「操作性の違い」も。肉や魚の下味の塩は均一に振りたいので、さらさらで粒の小さなものが向きます。反対に肉や魚を焼いた仕上げに岩塩を砕いた塩や粒の大きな塩を使うと、カリカリした食感も楽しめます。

Q&A

 読者から「IHクッキングヒーターでフライパンを使う時に気をつけることは?」という質問をいただきました。

 IHは熱効率が高いためフライパンがすぐに熱くなるのが特徴。フッ素樹脂加工のフライパンを販売するティファールによると、高温で使い続けるとコーティングがはがれやすくなるそう。油を引いてから点火することを推奨しています。

 IHは鍋底そのものを発熱させる仕組みで、ガスコンロのように熱気が鍋全体を包みません。鉄製フライパンの使い方のコツをメーカーのリバーライトに聞いたところ、多めに油を入れてゆっくり温度を上げ、油によって熱ムラを補正すると同時に、鍋に油を十分なじませて調理するといいそうです。

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