タイ庶民の味「ボート・ヌードル」濃厚スープの正体は…

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バンコク=貝瀬秋彦
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 バンコクの街を歩いていると時折、「ボート・ヌードル」という看板を掲げた店を目にする。タイ語では「クイティアオ・ルア」。「クイティアオ」はヌードル、ルアは「ボート」という意味だ。陸の上にあるのに、ボート・ヌードルとはいかに。長年、気になっていた疑問を解消すべく、ボート・ヌードルのお店を取材させてもらうことにした。

 第2次世界大戦中に、タイと仏領インドシナとの領土紛争で犠牲となった軍人らを慰霊するバンコクの戦勝記念塔。この周辺には、ボート・ヌードルの店が多い。その一つ、「トイ・クイティアオ・ルア」は、国内外のメディアに取り上げられてきた有名店だ。

 店主のカモンチャノックさん(37)によると、祖父母の時代に一家は、バンコクを流れる運河の上に浮かべた船で暮らしていた。祖父が船で炭などを扱うかたわら、祖母は小さなボートでヌードルを売っていたという。

 地元紙などによると、ボート・ヌードルは運河が主な交通路だった時代に生まれた。戦勝記念塔の近くにも運河が流れ、ボート・ヌードルを商う人たちは運河沿いに住む人や働く人たちに、ボートの上でスープ入りの麺をつくって提供していたという。カモンチャノックさんの祖母も、その一人だった。

 その後、街の発展に伴って新たな交通手段が生まれたり、建物が相次いでできて排水による運河の汚染が進んだりしたことから、ボート・ヌードルはしだいに姿を消していく。代わりに、陸に上がってボート・ヌードルを商う人たちが出始めた。

 カモンチャノックさんの一家も同じ決断をし、約30年前に運河沿いに店を構えた。父親が店を切り盛りするようになり、シンプルだった祖母のスープに改良を加え、しだいに大勢のお客さんが集まるようになったという。

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 ボート・ヌードルの特徴は…

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