フランスで開催中の第72回カンヌ国際映画祭で、監督週間部門に選出された三池崇史監督のバイオレンスコメディー「初恋」が17日昼(日本時間同日夜)、一般観客やジャーナリストたちにお披露目された。カンヌの常連である三池監督には現地にもファンが多く、約800席の会場は満席。見られない人も続出した。

 「初恋」の主人公は窪田正孝演じるプロボクサーのレオ。KO負けを喫したことからヤクザの世界に足を踏み入れるが、そこでモニカという少女(小西桜子)に出会う。と言っても、単純なラブストーリーではない。暴力と笑いがたっぷり詰まっており、三池映画の魅力が全開。場内は爆笑と拍手に包まれた。

 上映後には三池監督と小西桜子がQ&Aに登壇。冒頭、司会者から「なぜ『初恋』というありがちな題名を付けたのか」という問いに、三池監督は「ありがちな映画を作ろうと思ったからです」と答えて、爆笑はQ&Aでも続いた。

 観客からもユニークな質問が出た。多作で知られる三池監督に「この作品の監督をしている間に、一体何本の別の作品を監督していたんですか」。三池通らしい問いに「ええと、この時はテレビシリーズの監修をやりながら……って、そんな訳ないじゃん! この作品に集中していましたよ」と切り返し、また笑いを誘っていた。

 暴力と笑いを担う裏社会の奇妙な面々には、内野聖陽、大森南朋、染谷将太、ベッキー、塩見三省ら個性豊かな役者がそろった。キャスティングについて三池監督は「彼らはみな実力があり、主役を演じている。彼らが主役の時には、観客の共感を得るために『いい人』を演じることを求められる。だからもっと自由にやりたいというフラストレーションがたまっているんです」「特別な演出は何もしなくても、その場に彼らを置くだけで、フラストレーションを爆発させて、勝手に暴れてくれました」と説いた。

 オーディションでヒロインのモニカ役に抜擢(ばってき)された小西はカンヌ初参加で、彼女を応援する会場の拍手に感極まって涙を見せる場面もあった。「演技経験のない私に、三池監督はテクニックを教えるのではなく、私のまっさらな部分を引き出してくれた。あの時にしか出来ないお芝居になりました」と語った。

 三池監督は今回で7度目のカン…

この記事は有料記事です。残り372文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り372文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り372文字有料会員になると続きをお読みいただけます。