経営者はなぜ「渋沢」が好きなのか 今に生きるその哲学

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加藤裕則
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 2024年に発行される新1万円札の肖像に、戦前の実業家、渋沢栄一が選ばれました。「日本の資本主義の父」と呼ばれる渋沢ですが、それでも「なぜ」と疑問に思う人は多いでしょう。その理由を、没後88年経っても渋沢に傾倒する経営者らから探ります。

「論語と算盤」が導く未来

 証券会社が軒を連ねる東京・茅場町東京証券会館。マネーや起業の講座が開かれることが多い会議室の大きなスライドに突然、大リーグ・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手の姿が映し出された。

 「大谷選手と渋沢栄一。関係あると思いますか」

 コモンズ投信の渋沢健会長(58)が問いかけると、意外さからか、20~60代の約40人は静まりかえった。5月にあった「論語と算盤(そろばん)」経営塾での出来事だ。

 「論語と算盤」とは「日本の資本主義の父」と呼ばれ、東京証券取引所を設立した渋沢栄一の講演録のこと。渋沢会長は栄一の孫の孫、やしゃごだ。

 大谷選手が所属した日本ハムの栗山英樹監督は「論語と算盤」の愛読家として知られる。大谷選手もこの本を監督から渡され、読み込むのを目標の一つに掲げていた、と渋沢会長は聞いている。

 「見えない未来を信じろ」。栗山監督の著作の中にはこんな言葉がある。「二刀流の未来を信じ、大リーガーに押し上げた。この言葉は『論語と算盤』のエッセンスでもある」。渋沢会長は説明した。

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 米国の金融機関で働いていた…

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