スルガ銀、なお残る創業家の呪縛 泥沼の法廷闘争も

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藤田知也
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 昨年2月、東京・日本橋のスルガ銀行東京支店。営業部門トップの専務執行役員(当時)は、スルガ銀創業家出身の岡野光喜会長兼CEO(最高経営責任者、同)にこう告げられた。

15日の決算発表で新生銀行や家電量販ノジマとの業務提携を発表したスルガ銀行。シェアハウス不正問題からの立て直しをアピールしますが、同時に公表された不動産投資向け融資の不正全体の調査結果は、1兆円もの融資で不正やその疑いがあるという驚くべきものでした。創業家支配からの脱却もまだこれからで、前途は多難です。

 「シェアハウスの一連の問題があったので降りてもらう」

 これは東京地裁に起こされた民事訴訟の訴状の一節だ。

 元専務は、不正が横行したシェアハウス融資を推進した中心人物とされた。岡野氏の「鶴の一声」で閑職に追われ、事実上の降格で給与は月182万円から50万円に減った。不正の調査の聴取を受けることしか仕事がなくなり、昨年11月末には、審査部に圧力をかけて融資審査を形骸化させ、不正な融資を継続させたなどとして、幹部の中でただひとり懲戒解雇された。

 元専務は今年3月、スルガ銀に解雇処分の無効確認と未払い給与の支払いを求めて提訴。不正発覚前から不動産投資ローンの危険性を指摘していたのに、十分な弁明の機会もなく解雇されたなどと主張する。スルガ銀は「(処分に)瑕疵(かし)はない」(有国三知男社長)と争う構えだ。

 元専務を閑職に追いやった岡野氏も、不正問題の責任を取って昨年9月に辞任。岡野氏や元専務ら旧経営陣に現取締役の八木健氏を合わせた計9人は、不正を止められなかった責任などを問われ、スルガ銀から計70億円近い損害賠償請求訴訟を静岡地裁に起こされている。

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 この訴訟には、不正問題で多…

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