「日本の宝」プラント業界の危機 あの大統領の影響も

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高橋諒子
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経済インサイド

 世界各国・地域をまたにかけ、石油精製や化学製品などの巨大な生産設備をつくるプラント(エンジニアリング)業界。高度成長期以降、海外で高い技術力をアピールしてきた、「日本の宝」ともされる存在です。そんな企業の経営が急速に悪化し、債務超過に陥った社もあります。そろってつまずいたのは米国事業。意外なことに、あの大統領の政策も影を落としているようです。

債務超過も

 「現実的な形でリスクを予見できていれば、こんなことにはならなかった」。5月15日、2019年3月期決算を発表した東洋エンジニアリングの脇謙介常務は肩を落とした。純損益は8億円の赤字で、当初の10億円の黒字見通しから一転、18年3月期(268億円の赤字)に続いて、2年連続の赤字となった。

 「リスク」が生じたのは、米ルイジアナ州で建設中のエチレン製造プラント案件。今年に入って試運転で不具合が見つかり、手直し工事などで約100億円の追加費用が発生し、決算に大きく響いた。

 15年に受注したこのエチレンプラントは、年産50万トン、受注額1500億円。東洋エンジニアリングにとって過去最大規模の米国案件だった。ところが工事の遅れや手直しが相次ぎ、かかった追加費用は、この3年間で800億円にのぼった。

 千代田化工建設は、米国事業が経営危機まで招く結果になった。5月9日に発表した19年3月期決算での純損益は、過去最悪となる2149億円の赤字を計上。19年3月末時点で借金が資産総額を上回り、592億円の債務超過に陥った。債務超過は1948年の会社設立以来初だ。経営再建のため、筆頭株主の三菱商事などから計1800億円の資金支援を受ける。

 経営危機の主因は、米ルイジアナ州で手がけるLNG(液化天然ガス)プラントでの採算悪化だった。ハリケーンの影響も受けて工事が遅れ、追加費用がふくらんだ。

作業員が足りない

 米国案件で、各社を最も悩ませたのは「人手不足」の問題だった。

 米国では00年代以降、地下…

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