「可能性広がった」児童養護施設から進学 奨学金が支え

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貞国聖子
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 児童養護施設を出た子どもたちが大学などへ進学し、夢への一歩を踏み出している。施設は原則18歳で退所しなければならないため、家賃や生活費を稼ぐために進学をあきらめてきた人も多い。だが、返済不要の奨学金の後押しを受け、将来が広がる子どもが増えている。

 埼玉県の大学1年藤本翔さん(19)は今春、児童養護施設職員になるという夢をかなえるため、大学に進学した。

 2歳の時、父と交際相手、1歳の弟と廃車で生活していたところを警察に保護された。それからずっと施設で暮らしてきた。

 小学低学年の時、施設内で高校生から暴力を振るわれ続けた。ある日、意を決して職員に打ち明けると、高校生からの暴力はさらにひどくなった。「自分は子どもの気持ちがわかる職員になろう」と決意した。

 両親の顔は覚えていなかったが、小学4年の時に父と面会し、母と連絡が取れないことを知った。「自分は捨てられたんだ」。両親を思い続けた気持ちの糸がプツンと切れた。

 それでも将来の夢を考えるなかで、生い立ちをたどりたいと思った。高校生の時、職員に思いを伝え、施設に入った経緯を教えてもらった。親からの虐待で顔があざだらけで施設に来る子も見てきた。「家庭で苦しんでいる子がたくさんいる」。そんな子を支える居場所作りもしたい。

 大学進学にかかる費用は、施設出身者らを対象とした、日本財団の「夢の奨学金」から得ている。週6日大学に通い、3日はアルバイトをする。

 「学費の心配がなくなり、気持ちの余裕ができた。やりたいことをやろうと思えるようになり、可能性が広がった」。ボランティア活動への参加や短期留学も考えている。

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 中学3年から施設で暮らした…

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