明治期の文明開化を象徴する建物として知られる長野県松本市の旧開智学校校舎が、国宝に指定されることになった。国の文化審議会が17日、国宝に指定するよう文部科学相に答申した。県内の国宝指定は2014年の土偶「仮面の女神」(茅野市)に続いて10件目。建造物としては善光寺本堂など以来、66年ぶりだ。地元松本市の関係者は、松本城に次ぐ二つ目の国宝誕生に歓喜の声を上げている。

 旧開智学校校舎は、現在の松本市中央1丁目の女鳥羽(めとば)川沿いに1876(明治9)年に完成した。地元大工の立石清重(せいじゅう)が、竜の彫刻など伝統的な和風建築の要素と、石造り風の外壁や色ガラスなど、当時最新の洋風建築の要素を融合。全国で流行した「擬洋風」校舎の中でも特に高い完成度と評価され、1961(昭和36)年3月に国の重要文化財に指定された。

 校舎は63(同38)年まで、実際に小学校として使われた。翌年、女鳥羽川の河川拡幅などに伴い、約1キロ北側の同市開智2丁目に移築された。木造2階建て、建築面積約514平方メートルで、中央に八角塔がそびえる。国宝には「重要文化財のうち極めて優秀で、かつ、文化史的意義の特に深いもの」という基準に従い、官報の告示を経て正式に指定される。近代の学校建築としては全国初。

 校舎に加えて、図面や見積書、…

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