ライオン、骨付き肉に興奮 肉食獣の本能刺激する動物園

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森川愛彦
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 愛くるしいレッサーパンダが、ちょこちょこと飼育担当の河野成史さん(27)を追いかけていく。目当ては河野さんの手にあるリンゴ。誘導され、縦長の木箱に入ると、後ろ脚で立ち、河野さんの手からリンゴを次々と食べていく。その間に獣医師がしっぽから注射器で血を抜いた。

 大牟田市動物園は、こうした方法で、肉食獣を含めた多くの動物の無麻酔採血を成功させている。

 元々、野生にいた動物は外敵を警戒し、体の不調を隠そうとする。だから定期的な血液検査が健康管理には不可欠だが、体への負担が大きい麻酔は極力避けている。その取り組みは全国最先端のレベルにある。

 「動物たちへの人為的負担を減らし、野生でできていたことを園内でもできるようにする。それが、うちが取り組む動物福祉です」と椎原春一園長(59)は話す。環境エンリッチメントとも言う飼育方針だ。

 市動物園は、2004年度に年間来園者が約13万人に減り、閉園の危機に陥った。市内に本社を置く西日本メンテナンス社が指定管理者になったのは06年。それから十余年で、ジャイアントパンダやゾウなどの人気動物抜きに来園者をほぼ倍増させ、立て直した。その原動力は、この飼育方針と、飼育員らスタッフ19人のひたむきな努力だ。

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 河野さんはこの3月、レッサ…

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