被爆前の広島、失われた日常の映像記録 駅は、映画館は

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宮崎園子
【動画】原爆投下11年前の広島の様子を記録した映像が寄贈され公開された(故・井上秀夫さん撮影、井上和子さん寄贈、広島平和記念資料館所蔵)
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 原爆投下の11年前ごろの広島市内の様子を撮影した映像が、広島平和記念資料館広島市中区)に寄贈された。フィルムに収められているのは、にぎわう映画館周辺や海水浴場、練り歩く軍人たち。軍都でもあった広島の日常生活の一端を記録した、貴重な映像という。

 寄贈したのは、兵庫県西宮市の井上和子さん(87)。2015年に85歳で亡くなった広島出身の夫、節夫さんの遺品で、「パテベビー」と呼ばれる9・5ミリフィルム2本(計約7分間)を資料館に託した。パテベビーは、1920年代にフランス・パテ社が発売した家庭向け小型フィルム。映写機やカメラは、日本で発売されると富裕層を中心に普及していたという。

 節夫さんの父、秀夫さん(88年に86歳で死去)が、主に家族の日常を撮影したもの。広島市中心部の旧鉄砲町周辺や、のちに原爆投下目標となった相生橋、郊外の海水浴場、原爆の爆風で本殿が倒壊した饒津(にぎつ)神社(同市東区)や、旧広島駅舎なども映る。映画館「太陽館」などに掲げられていた看板などから、資料館が撮影時期を1934(昭和9)年ごろと特定した。

 和子さんによると、秀夫さん…

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