トルコ、知られざる軍事力 無人機もヘリも自前で生産

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イスタンブール=其山史晃
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 中東の地域大国トルコが20年足らずの間に武器の国産化率を大幅に増やした。その自信を背景にロシアから地対空ミサイル購入を決め、米国の強い反発を招いている。トルコは西側から離れていくのか。(イスタンブール=其山史晃)

 「設計から生産まで、防衛産業の全段階を自国でまかなう目標に着実に近づいている」。4月30日、イスタンブールで開かれた国際防衛産業フェアの開幕式で、エルドアン大統領は言葉に力を込め、2000年代初頭に約2割だったトルコの防衛装備品の自給率が約7割に達したと強調した。生産対象は長距離砲、攻撃ヘリ、装甲車から電子戦システムに及ぶ。

 会場で目をひいたのは新型無人機アクスングル(白いハヤブサ)。24メートルの翼の下には搭載できる国産の精密誘導弾を並べ、見学者には外国軍の制服姿もあった。無人システムはトルコが特に力を入れる分野だ。

 開発に携わったトルコ航空宇宙会社の担当者は「アクスングルの強みは、飛行高度、弾薬、カメラの精度、敵の通信傍受まで、戦場での偵察や攻撃の任務で必要なデータに裏打ちされていることです」と話す。トルコは16年と18年にシリア北部で越境軍事作戦を展開。同社製無人機が使われ、実戦経験が新たな開発に生かされた。

 別の担当者は「中東の国々を中心に問い合わせはかなりある。米国製やイスラエル製より安いのも魅力だろう」。トルコ製無人機はカタールが購入。今年に入ってウクライナが購入を決め、マレーシアも関心を示したと報じられている。

エルドアン政権下で

 業界団体によると、18年の防衛航空関連の総売り上げは87億6千万ドル。10年間で2・8倍に増えた。輸出額も2・6倍を記録している。サウジアラビアアラブ首長国連邦パキスタントルクメニスタンなどが主な輸出先だ。

 トルコはなぜ、武器の国産化を強く意識するようになったのか。

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