クリムトは時代が求めた「解放者」 稲垣吾郎さんが語る

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聞き手・森本未紀
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 俳優の稲垣吾郎さん(45)が14日、東京・上野の東京都美術館を訪れ、スペシャルサポーターを務める「クリムト展」を鑑賞した。稲垣さんの目には、19世紀末の巨匠グスタフ・クリムト(1862~1918)はどう映ったのか。自身との共通点は? 話を聞いた。

     

 ――クリムトの作品を見た印象を教えて下さい。

 クリムトの作品って、刺激的で官能的だったり、ときにおどろおどろしかったり。豪華絢爛(けんらん)なだけじゃなく、繊細さもあって、圧倒されました。毒々しさや退廃的なネガティブな表現にも、どこか装飾の可愛らしさがあって、「ユディトⅠ」の生首も怖くはなかったです。

 ――展覧会を見てみて、クリムトはどんな人物だったと思いましたか?

 激動のウィーンの19世紀末で、それまで抑制されていた概念を芸術によって解放した「解放者」なんだなと思いました。時代がこういう人を求めていたんだなと。

 僕が舞台で演じたベートーベンにもリンクします。やはり、葛藤がありますよね。自分が本当に表現したいものがある一方で、世の中から押さえつけられたり、パトロンから求められたりするものがそれぞれあったと思うので、そのギャップにも苦しんだんだろうなと想像しました。

 ――その人物像にひかれる部分はありますか?

 見た目にはひかれないですけどね(笑い)。芸術家特有の神経質で気むずかしい人間なのかなと思いきや、自分の肉親に深い愛情を注いで、守り抜いた人だなとも感じて。あと、意外にビジネスマンですよね。人たらしというか。生前評価されなかったゴッホとかとは違って、世の中のバランスを見ながら、意外に上手に世渡りをしたように思います。

 ――稲垣さんとの共通点はありますか?

 いえ、僕は芸術家ではなくて、つくられたものを忠実に表現する側です。もちろん使命感を持ってやっていますけど、ある意味、人任せなところがあります。作品を人に伝えて、そこにお客さんがいて完成する。画家は、自分で白いキャンバスに一から描く。文学も同じですね。そういう人たちには尊敬しかないです。

このあと、稲垣さんが過去に演じたベートーベンの、「第九」をテーマにした「ベートーベン・フリーズ」や、ウィーンで鑑賞したクリムト作品についてたっぷり語っています。豊富な写真とともにお楽しみいただけます。

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■クリムトのベートーベンに対…

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