「事件で事業に集中できず…」 日産社長、回復へ茨の道

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木村聡史 友田雄大
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 日産自動車が苦境にあえいでいる。14日発表した2019年3月期決算は大幅な減益となり、20年3月期も業績の悪化に歯止めがかからない見通しだ。続投に意欲を示す西川(さいかわ)広人社長兼CEO(最高経営責任者)は、仏ルノーとの関係を安定化させながら、低迷が続く収益を回復させるという難しいかじ取りを迫られている。いばらの道が続きそうだ。

 「(ゴーン前会長が逮捕される)事案発生以降の動揺の中で打つべき施策が遅れた。ご心配をおかけして申し訳ありません」

 14日夕、横浜市の日産本社で開かれた決算発表会見の終盤に西川氏はこう述べ、業績低迷を謝罪した。

 19年3月期の営業利益は44・6%減の3182億円。20年3月期はさらに悪化し、27・7%減の2300億円に落ち込むと見込んでいる。16年3月期に6・5%だった営業利益率はこの4年間で2・0%まで減る見通しで、業績悪化が鮮明になっている。

 業績悪化の主因は米国事業の不振だ。米国での販売台数は、19年3月期は前年比9・3%減の144万台。20年3月期も同6・5%減の135万台に落ち込む見通しで、販売が回復する兆しはまだ見えない。日本と中国の販売は伸びる見通しだが、米国の低迷をカバーしきれそうにない。

 カルロス・ゴーン前会長がここ数年、米国で強引に進めた拡販戦略が裏目に出ている。販売台数を増やそうと値引き販売に依存してきた結果、販売台数が増えてももうけが出にくい構造に陥った。19年3月期の米国事業の営業利益率は1%強で、ほとんどもうけが出ていない。立て直しに苦慮しており、20年3月期も収益の圧迫要因となる。

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 事業低迷の経営責任について…

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