故人でも入市被爆を認定 長崎の被爆体験者差し戻し審

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弓長理佳
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 長崎への原爆投下をめぐる「被爆体験者」訴訟の原告のうち、最高裁が審理を差し戻した男性(故人)について、長崎地裁は14日、長崎市による被爆者健康手帳と健康管理手当の却下処分を取り消した。武田瑞佳裁判長は判決で「男性は原爆投下後に爆心地周辺に立ちいったと認められる」との判断を示した。

 男性は被爆体験者訴訟の原告に加わったが、提訴後に死去。2017年12月の最高裁が「遺族が訴訟を引き継げる」との判断を示し、審理を長崎地裁に差し戻した。差し戻し審で、妻らが訴訟を継承していた。

 判決では、「原爆投下時は大村市にいたが、浦上で働く兄を捜して爆心地付近に行き入市被爆した」という男性の陳述などを「一貫しており、信用性が高い」と認定。市の却下処分は違法だと結論付けた。

 市は手帳交付の審査で、本人の証言を裏付ける記録や証人を重視してきたが、判決は「第三者の裏付けがないことで、男性の陳述の信用性が減殺されるとはいえない」とした。

 判決が確定すれば、長崎市では原告本人の死亡後、遺族に対して健康管理手当が支給される初のケースとなる。田上富久市長は「判決の詳細を確認し、今後の対応について検討したい」とのコメントを出した。(弓長理佳)

■「救済可能性広がった」弁護…

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