ロシア外相、河野氏に「立場の違い非常に大きい」

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モスクワ=竹下由佳 石橋亮介
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 河野太郎外相は10日、ロシアのラブロフ外相とモスクワで平和条約締結について交渉した。終了後の共同記者発表でラブロフ氏は第2次世界大戦の結果、北方領土が正当にロシア領になったと日本が認める必要性を強調。北方領土は固有の領土で不法占拠されているとしてきた日本側には受け入れられない主張で、平行線に終わった。

 安倍晋三首相プーチン大統領から交渉責任者に指名された河野氏とラブロフ氏による交渉は3回目。交渉の冒頭、河野氏は「幅広い分野で関係を進展させつつ、領土問題を解決し、平和条約を締結することにより、新たな次元の日ロ関係を構築していくべく、協議をしていきたい」と語った。ラブロフ氏は「現状では立場の違いは非常に大きい」とする一方、これまでの交渉について「どこに立場の違いがあるのか、どこに立場を近づける余地があるのかを理解するのに役立った」とも話した。

 共同発表でラブロフ氏は、日ロ両首脳が交渉の基礎とした1956年の日ソ共同宣言について「国連憲章に定められた第2次世界大戦の結果を完全に認めることを意味する」と述べ、北方領土をロシア領とする正当性を訴えた。

 さらに、「日米安全保障条約が有効であることを考慮せざるを得ない」と話した。会談で米国の行動を取り上げたといい、日本が米国から購入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」などを念頭に「我々に対する脅威ととらえている」と語った。

 これに対し、河野氏は「双方の立場の隔たりを克服できたわけでもない」と認めた。ラブロフ氏が第2次世界大戦の結果について言及したことについて「領土問題が解決されていないため、平和条約が締結されていないということはご承知の通りだ」と述べた。

 一方、日本側が領土交渉への機運を高めると期待する北方四島での共同経済活動について「双方が柔軟性を発揮して、建設的に作業するよう事務方に指示を出すことで一致した」と成果を強調した。

 一連の外相日程終了後、実務…

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