沖縄が日本に復帰してから15日で47年。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題では、沖縄が何度も「ノー」を示すものの、政府は「唯一の解決策」と繰り返す。そんな中、沖縄の米軍基地の負担軽減に向け、市民レベルで本土を動かそうと模索する動きが、少しずつ広がっている。(角詠之、上遠野郷)

 全国の市民が責任を持って、普天間飛行場の問題について、国民的議論をしてほしい――。沖縄の市民グループは3月下旬、そんな陳情書を全国の市区町村と都道府県の計1788議会の議長宛てに発送した。

 具体的な内容は、普天間の代替施設の移設先について全国すべての自治体を等しく候補地とし、それぞれが民主的な手続きで移設の可否を議論することを求める意見書を可決してほしい、というもの。市民グループは、辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票の実現を求めた市民団体のメンバーが中心だ。

 なぜ地方議会への陳情なのか。グループの一人で、那覇市の司法書士・安里長従(ながつぐ)さん(47)は「『普天間を本土で受け入れられないから辺野古に』という不合理な差別をやめ、全国で自分たちの問題として議論してほしい」と説明する。

 全国の米軍専用施設の7割が集中するなど、沖縄はすでに過剰な負担を抱えている。普天間を返還する代わりに辺野古に移設するという計画は閣議で決めただけで、国会の決定も、県民の同意も得ていない。だから安里さんたちは県民投票の実施を求め、県民はワンイシュー(単一の争点)で「辺野古ノー」という民意を示した。「それでも移設が必要だというのなら、政府が一方的に移設先を選んで押しつけるのではなく、沖縄以外の場所に公正で民主的な方法で決めるべきだ」

 各議会での議論は6月からになるが、約130の議会からはすでに「住民以外からの陳情は議員に配布するだけで、審理はされない」と連絡があった。「多くの議会は『議員配布』にとどまるでしょう。でも、全国の市民が少しでも私たちの思いを受け止め、行動を起こしてくれることに期待しています」

■「沖縄の基地問題を考えること…

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