93歳マレーシア首相、就任1年で苦境 海外では高評価

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クアラルンプール=守真弓
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 昨年政権トップに返り咲いたマレーシアのマハティール首相が苦境に立っている。多数派マレー系住民の優遇策を変える動きを見せたことがきっかけだ。7月で94歳になる「世界最高齢首相」は海外での評価は高いが、就任から1年で国内の支持率は激減し、足元がゆらいでいる。

 「ともに闘おう」。4日、首都クアラルンプールで数千人規模の反政府デモがあり、参加者らはこう訴えた。大半は国民の7割弱を占めるマレー系の人たち。ファイサルさん(47)は「マレー人のマレーシアではなくなっていくのが心配だ」と話す。

多数派マレー系が猛反発

 怒りの原因は、マハティール氏がブミプトラ(土地の子)政策の見直しの動きを見せたことだ。ブミプトラ政策は、経済的に優位な中華系やインド系に対抗し、先住民であるマレー系の教育・就職面などでの優遇策で、1971年に始まった。マハティール氏もマレー系で、81~2003年に首相を務めた時は政策を推進した。

 だが、マハティール氏は昨年5月の総選挙で、政策の見直しを訴えてきた中華系政党などと選挙協力をした。当時は野党で、政権奪回のために必要な多数派工作の戦略でもあったが、マレー系には考えを変えたと受け止められた。

 実際、首相に就くと、これまでマレー系が占めていた財務相や司法長官など、主要ポストに非マレー系を任命。公約実現に向けて首相に助言する有識者らの「賢人会議」は、同政策の縮小にむけた見直しを提言。昨年9月には、同政策との矛盾が指摘される人種差別撤廃条約を批准すると発表した。

 これにマレー系は猛反発。政府は条約の批准の断念やブミプトラ政策の維持を発表したが、不満は収まっていない。

 今年実施された下院議員や州議会議員の補選で与党は3連敗。民間調査機関ムルデカ・センターによると、就任直後に79%あった政権支持率は、3月に39%まで落ちた。

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