会えない人に、思い伝える 大槌「風の電話」映画化へ

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東野真和 渡辺朔 聞き手・東野真和
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 会えなくなった人に思いを届ける岩手県大槌町の「風の電話」が映画化される。東日本大震災後に設置され、大切な人を失ったり、悲しみを抱えたりした人たちが訪れ、線のつながっていない黒電話で思いを伝えてきた。諏訪敦彦監督(58)は「現代は目に見える価値観をありがたがる傾向がある。整理できない気持ちを受け止める風の電話に込められた『祈り』を多くの方に知ってほしい」と話す。

 映画「風の電話」の主人公は、震災で両親と弟を失った16歳の少女ハル。「なぜ自分だけ生き残ったのか」という心の傷を抱えながら、広島の伯母宅から故郷の大槌をめざす物語だ。諏訪監督は「旅という非日常の中でハルは自分自身を見つめ直していく。戦争も災害も大切な人を奪われるという意味では同じ。心に傷を受け、生き残った人たちがどう再生していくのか。より普遍的に描きたかった」と話す。

 撮影は西日本豪雨で被災した広島県で始まり、首都圏を経て2日に大槌町でクランクアップした。諏訪監督は「被災地では時間が止まったままのような場所があるが五輪に沸く東京では分からないこと」と話す。

 ハル役をモトーラ世理奈さん(20)が演じ西島秀俊さん、西田敏行さん、三浦友和さんらベテラン俳優たちが脇を固める。2020年の年明けごろ公開予定。東野真和、渡辺朔)

■誰の心にも届くはず 主人公…

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