欧州で差別、日本にはじかれ…「排外右派」日系人の原点

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聞き手・津阪直樹
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 欧州を席巻する排外主義的な右派ポピュリズムの動きの中心に一人の日系人がいる。チェコの右翼政党「自由と直接民主主義」を率いるトミオ・オカムラ氏(46)だ。なぜ日系人のオカムラ氏がチェコで反イスラム移民を訴えるのか。プラハで本人に聞いた。

 ――東京の高島平のご出身ですが、チェコで暮らすようになったのはなぜですか?

 5歳まで日本に暮らした後、チェコ人の母と初めてチェコに行きました。そこで、待っていたのは人種差別でした。「外国人」と言われ、母が病気で入院し、弟と養護施設に入っていた1年間は、ひどいいじめに遭いました。その時のことがトラウマになり、20歳代前半まで吃音(きつおん)に悩まされました。

 自由で豊かな日本で生きて行こうと18歳の頃、一人で日本に戻って来ました。親戚のつてでゴミ回収の仕事をしたり、日比谷東京宝塚劇場の売店でポップコーンを売ったりしていました。狛江市で家賃5万4千円の5畳半のアパートを借り、段ボールを机にして、月7万円の貯金を目標にしました。日本人よりお金持ちになろうなんて気は全くなく、ただ、日本人と同じようになりかったのです。

 でも、当時の日本では外国人がまだ珍しく、外国人の顔をしている私は日本でも悲しい思いをしました。混んでいる地下鉄で私の隣に誰も座らなかったり、領収書にわざと難しい漢字を書くよう求めてきて書けないと笑われたり。チェコから取り寄せたガラス細工を持って店を売り歩きましたが、まず、「日本語、お上手ですね」と言われることが多く、日本でビジネスをするのは難しいと思い、チェコに戻ることにしました。

日本語を話せるガイドに

 ――チェコで政治家になったきっかけは何ですか?

 当時、チェコは共産主義体制…

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