緑のニューディール、米政界を席巻 180兆円の構想も
トランプ政権下で停滞していた地球温暖化対策の議論が米議会で再び活発になっている。野党・民主党の一部議員による提案「グリーン・ニューディール」をきっかけに、与党・共和党からも対案が出始めた。(ワシントン=香取啓介)
5月13日、ワシントンの大学講堂で開かれた「グリーン・ニューディール」(GND)のイベント。「こんな(暑い)地球は過去にない。GNDは過激だという人がいるが、100%クリーンエネルギーを求めることはやり過ぎ?」。オカシオコルテス下院議員(民主)が問いかけると、千人以上の聴衆が「ノー!」と声を合わせた。
温暖化対策と弱者救済策を組み合わせたGNDは、民主社会主義者を自任するオカシオコルテス氏と、環境派のマーキー上院議員(民主)が起草、2月に議会に提出した。その名は1930年代の経済政策ニューディールにちなむ。
拘束力のない決議案だが、2050年で世界の温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を目指して今後10年間、国家総動員をすると明記。電力の100%クリーン化や、建物の改修、高速鉄道網整備などで雇用を生み出す一方、温暖化対策の影響を受ける地方やマイノリティーなど社会的弱者に配慮。最低賃金引き上げや国民皆保険につながる考えも盛り込む。
トランプ大統領の就任後、米国で温暖化対策の議論は低調だった。トランプ氏は「温暖化は中国のでっち上げ」と主張し、17年には温暖化対策の国際ルール「パリ協定」離脱を宣言。温暖化による脅威や経済損失をまとめた報告書を無視し、石炭火力発電の排出規制などをことごとく覆した。上下院で多数を占めてきた共和党も議論を避けてきた。
ところが昨秋の中間選挙で民…
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