ごみ減量、ゲームで考える 「排出ゼロ」掲げる町で誕生

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佐藤常敬
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 どうすれば、ごみを減らせるか、ごみをなくす方法はないか。子どもたちが楽しみながら学べるカードゲームが完成した。考案者は徳島県の山あいの上勝町で「ごみ排出ゼロ」に取り組むNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野晶・理事長(30)。クラウドファンディング(CF)で募った資金で製品化。希望する学校に無償で配るほか、インターネットで「簡易版」を公開する。将来は「英語版」をつくる構想もある。

 ゲームの目的は「ものがごみにならないように救う」こと。

 参加者は、山札から引いた「ガラスびん」「ストロー」など日常生活で使う「もの」のカードを、最初に配られる「リサイクル(資源・原料に戻す)」「リペア(修理)」といった「ものを救う手段」のカードを対応させて「救う」。救えない場合、初めから使わない方法(リフューズ)を他の参加者に説明するか、ごみとして処分するかを選ぶ。手段によってポイントがつき、ゲーム終了時のポイントの合計を競う。

 小学校高学年のごみ問題を考える授業向けのツールとして開発。試作品の体験会で、何度もゲームにチャレンジした男の子が「なんでごみをたくさん捨てたり、投げ捨てたりするのが良くないのか、お母さんに怒られた意味が分かった」と話したという。

 坂野さんは上勝町のごみ削減事業に取り組むNPO法人の理事長。町は2020年までにごみ焼却と埋め立て処分をなくすという目標を掲げ、住民が町内1カ所の「ステーション」に持ち込んで45分別する生活が定着している。16年度のリサイクル率は81・0%と全国2位だった。

 カードゲーム作りを思い立ったのは、16、17年にタイであった、国際交流基金アジアセンターのスタディーツアーで、防災や環境をゲームで学ぶ実践を見たのがきっかけ。ごみ問題にも応用できると考えた。「カードゲームをきっかけに、子どもたちが『自分でできること』を考え、行動するきっかけになれば」と話す。

 製品化のための資金をCFで募ったところ、目標額の150万円を超える約190万円が集まった。約300セットを製品化し、資金提供者に送るほか、ごみ問題の授業に力を入れている小学校などに無償で届ける。また、自分でプリントアウトして使える「簡易版」のインターネットでの公開や、英語版を作る構想もあるという。

 坂野さんは、今後の国内での普及や販売、海外向けを目指して新たなアイデアや提案などをしてくれる企業や団体などパートナーを探しており、問い合わせはNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー(info@zwa.jpメールする)。(佐藤常敬)

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