川崎殺傷「1人で死ねば」の声 事件や自殺誘うと懸念も

有料記事川崎の19人殺傷事件

土屋亮 江戸川夏樹 林幹益
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 川崎市多摩区の事件で、児童ら2人を殺害し、18人に重軽傷を負わせたとされ、直後に自殺した岩崎隆一容疑者(51)について、テレビ番組で「子どもを巻き込まずに、1人で死ねばいい」といった趣旨で発言する出演者が相次いだ。落ち度のない子どもたちが不意に襲われて死傷した事件だけに、同様の意見はネットでも広がった。一方、「別の自殺や事件を誘発する」として憂慮する声も出ている。

キャスターやコメンテーターが口々に

 事件が起きた28日の午後。フジ系の情報番組「直撃LIVE グッディ!」で、安藤優子キャスターが出演者に語りかけた。「社会に不満を持つ犯人像であれば」と前置きして、「すべてを敵に回して死んでいくわけですよね。自分1人で自分の命を絶てばすむことじゃないですか」。コメンテーターの北村晴男弁護士も「言ってはいけないことかもしれないけど、死にたいなら1人で死ねよ、と言いたくなりますよね」と続けた。

 同日のTBS系情報番組「ひるおび!」でも、落語家立川志らくさんが「1人の頭のおかしい人が出てきて、死にたいなら1人で死んでくれよって、そういう人は」とコメント。ネット上でも「1人で勝手に死ね」「迷惑かけずに1人で死ねば」など、似た言葉が書き込まれていった。

「非難控えて」に賛否

 そんな状況にネット上で異論を唱えたのが、貧困者らを支援するNPO「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事。「次の凶行を生まないためにも、『1人で死ぬべき』という非難は控えてほしい」と呼びかけた。事件が起きる背景には容疑者が育った環境や社会状況もあり、「死ね」と言うだけでは事件を防げないとして、生活支援など社会のあり方も見直すべきだと指摘した。

 藤田さんの問題提起をめぐり、ネット上ではさらなる賛否が飛び交う。「テレビやネットでの『死ね』は不特定多数への示唆となってしまう」といった声がある一方で、「きれいごとに聞こえる」「自分の家族が被害者でも同じことを言えるのか」などの意見も。「死ね」発言を擁護する声も多く、「『ひとりで死ね』は真っ当な感情」「被害者やその家族だけは言っていい言葉」などと書き込まれている。

 発言への賛否に、犯罪被害者

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