若い世代、9条への思い「虚構追う覚悟、我々にあるか」

有料記事

聞き手・高重治香 聞き手 編集委員・塩倉裕
[PR]

 日本国憲法が施行されて72年。原点にあるのは、第2次世界大戦での敗戦という経験だ。いま日本社会では、敗戦国としての日本像も、経済大国としての戦後日本像も知らない世代が多数になりつつある。新たな世代は9条という遺産(レガシー)をどう受け取るのか。

栗山リンダさん 高校時代に「1万人模擬国民投票」を呼びかけた大学生

 大人から「憲法9条を変えると戦争になる」と言われたことがあります。私は「なるわけない」と反発していましたが、9条について考えてみたことがあるかと言われれば、なかったと思います。

 変化のきっかけは、昨年、全国の高校生が集まるイベントで「憲法改正の国民投票の模擬投票を、高校生1万人でしよう」と呼びかけたことでした。自民党が提示した9条に自衛隊を明記する改憲案の賛否を問う投票です。高校の枠を超えた大きな文化祭のような企画の実行委員をしていて、呼びかけ役を担うことになったのです。

 最初は気が進みませんでした。私にとって戦争はめっちゃ昔のことです。祖父から戦争中の話を聞いても、原爆の展示をした広島の平和記念資料館に行っても、異次元のことと感じていました。憲法も、自分とは無関係の「暗記するもの」でした。最初に授業で9条に自衛隊を明記する話題が出されたときも「自衛隊の人が明記したいならすればいい」と発言していました。自分の問題とは、とらえていなかったのです。

模擬投票を呼びかけた高校生が感じたことは何だったんでしょうか。そして、若き憲法学者が見る世代の9条観は。

ここから続き

 意識が変わったのは、準備企…

この記事は有料記事です。残り2802文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら