うんていのすき間に挟まれ死亡 遊具の安全、なぜ不十分

有料記事学校の死角

平井恵美 木村健一
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 校庭や園庭に置かれ、いつも子どもたちでにぎわう遊具。遊びを通して挑戦を繰り返し、成長する場でもある。だが、国の安全指針が浸透せず、点検が不十分な遊具も少なくない。現場任せの安全管理を変える仕組み作りが求められている。

 園庭で走り回って遊んでいた女児(当時3)は時折、フェンス越しの部屋をのぞいていた。そこには前日に入所したばかりの0歳児の妹がいた。

 2017年4月、香川県善通寺市の保育所。女児はうんていの支柱とはしご(高さ約1メートル)との間にできたV字部分に首を挟まれた状態で見つかった。保育士が気づいたのは約10分後。救急搬送されたが、18年1月に亡くなった。うんていは、妹のいる部屋のすぐそばにあった。

 業務上過失致死容疑で捜査を受けた園長は今年1月に不起訴(嫌疑不十分)となったが、遺族が起こした民事訴訟は続く。訴訟の資料では、うんていは子どもの成長に応じてはしご部分の高さを変えることができ、事故時はV字部分の角度は約44度だった。

 遊具の安全をめぐっては、都市公園を所管する国土交通省が02年に指針を定め、日本公園施設業協会(東京、遊具メーカーなど約130社)が具体的な数値を盛り込んで安全基準を自主的に作成。55度未満の上向きのV字部分を設けてはならないとしている。

 保育所を運営する社会福祉法人は年1回、業者に頼んで遊具の劣化などを点検していたが、安全基準を満たすかは調べていなかった。理事長は取材に「私も園長も事故が起きるまで指針や基準を理解しておらず、危険な状態と認識していなかった。遊具を設置した責任はあり、大きな事故が起きたことは申し訳ない」と話す。

 学校や幼稚園などにありながら、安全指針に沿って点検されていない遊具もある。

■総合遊具から3メートル下に…

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