強い叱責、ダム湖で21歳死亡 元請け側による労災認定

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橋本拓樹
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 広島市の電気工事会社で働いていた男性が2016年、自ら命を絶った。長時間労働や、元請けの清水建設側の叱責(しっせき)による労災と認定された。損害賠償を求めて遺族は電気工事会社を提訴。清水建設側も参加して訴訟が続いている。(橋本拓樹)

 亡くなったのは栗栖(くりす)祐磨(ゆうま)さん(当時21)。訴状などによると、栗栖さんは2015年に大栄電業(広島市西区)に入社し、16年5月から清水建設が元請けの工事で施工管理を担当。同年8月12日、清水への派遣社員で、現場監督だった男性から強く叱られ、早退した。以来出社せず、15日に行方不明となり6日後に市内のダム湖で亡くなっているのが発見された。

 広島中央労基署の調査によると、同年5月28日から翌6月26日までの時間外労働は95時間10分。6月は13日間の連続勤務があった。

 現場監督は栗栖さんに「なんやその目つきは!帰れ!」と言ったほか、トラブルの対処をめぐり「いつ直すんや。いつできるんや」「担当を代われ!」などと強く叱責した。現場監督は、ほかの大栄電業社員ら下請け業者への口調も厳しかったという。

 こうした経緯から、労基署は長時間労働と叱責が原因で精神障害を発症し、自殺したと判断。労災と認定した。

 遺族は昨年8月、大栄に計約7800万円の賠償を求める訴訟を広島地裁に起こした。大栄側は争う姿勢を示す一方、同社の代理人弁護士や書面によると、「現場監督による暴言の内容は知らされていない。不法行為安全配慮義務違反が成り立つなら清水建設は外せない」と主張。訴訟告知の手続きをとり、清水建設や現場監督、派遣元の会社が訴訟に補助参加した。

 補助参加した清水建設などは大栄電業側に立って遺族と争う。一方、遺族側の訴えが認められれば、大栄は賠償金の一部を清水建設らに求めることができる。

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