患者を生きる・食べる「がんと口内炎」(2)

 埼玉県の女性(62)は昨年9月、再発した乳がんの抗がん剤治療の副作用で、口内炎が出来た。激しい痛みで、食事を取れず、会話もままならなくなった。

 抗がん剤の注射から1週間後は、検査のため、治療を受けている東京都内のがん専門の病院に行く日だった。だが、準備の時間になっても女性は寝室で起きられなかった。痛みで口が動かせず、声も出せない。「熱がある」「予約の時間には間に合わない」「水を少ししか飲めていない」。付き添いのため、実家に帰っていた長女(28)に、こう筆談で伝えた。

 長女は病院に電話で状況を伝え、予約した時間には遅れる、と話した。まもなく病院の担当者から電話があった。「熱が高く、感染症の心配もある。遅くなってもいいので、病院に来てください」

 解熱剤をのみ、熱が少し下がっ…

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