独自の通貨をもつ国は、インフレにならなければ財政赤字などへっちゃらだ――。

 米国で最近話題になっているこの「トンデモ理論」。その提唱者が成功例としてあげているのが、「アベノミクス=日本銀行の異次元緩和」だ。名指しされた側の日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁はこれと一線を引こうとしているが、この理論のめざすところは、アベノミクスが立脚するリフレ論そのものだ。

 25日午後3時30分から開かれる記者会見で、黒田総裁はどうこたえるだろうか。

 このトンデモ理論は、米国で民主党左派のブレーンとなっているニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が「MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)」と名づけて提唱している。

 興味深いのは、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏らがこのMMTを批判していることだ。これまで金融緩和の強化を主張してきた日本のリフレ論者たちはクルーグマン氏を理論的支柱としてあがめてきた。

 たしかにクルーグマン氏ら主流派経済学者たちは金融政策が効果的だと主張してきたが、さすがに同氏も財政膨張をどこまでも支え続けるMMTとは距離をとっているようだ。

 しかしケルトン氏はめげること…

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