当事者は語れなくても…次世代へ ひめゆり資料館30年

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岡田将平
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 太平洋戦争末期の沖縄戦に動員され、多くの女子学生が亡くなった「ひめゆり学徒隊」について伝える「ひめゆり平和祈念資料館」(沖縄県糸満市)が6月23日、開館30年を迎える。生き残った元学徒たちが建て、証言を続けてきた。近年は戦後生まれ世代が講話を継承している。

 展示室に200人以上の遺影が並ぶ。10代で地上戦に巻き込まれた女子学生や教師たち。前館長の島袋淑子(よしこ)さん(91)は資料館に来るたび、友や恩師にあいさつする。

 17歳の沖縄師範学校生だった。本島南部を転々とする中、けがを負い、死も覚悟した。「生きるも死ぬも一緒よ」。そう言っていた友が亡くなり、戦後は「生きていていいのか」と負い目を感じ続けた。

 元学徒たちは、学徒隊のことを伝えていくために資料館を建てることに。寄付を募り、1989年の「慰霊の日」に「ひめゆりの塔」のそばに開館した。戦時下の学校生活、動員された陸軍病院の惨状、戦場をさまよった体験を展示で説明している。

 島袋さんが「生きていていいんだ」と思えるようになったのは、開館後、遺族から「知らなかったことがわかった」などと感謝されてからだ。多くの元学徒が体験を語れなかったが、「自分たちが伝えなければ」と、証言員として修学旅行生らへ伝え始めた。

 今も気がかりなのは、どこで亡くなったかもわからない学友たち。

 その一人で、同じ本部町(も…

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