強制不妊救済法、首相が「おわび」談話 国の責任触れず

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浜田知宏
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 旧優生保護法(1948~96年)の下で障害のある人らに不妊手術が行われた問題で、被害者に一時金320万円を支給する議員立法の救済法が24日、参院本会議で全会一致で可決され、成立した。欧州訪問中の安倍晋三首相は、反省とおわびを盛り込んだ談話を書面で発表した。ただ、被害者側が明確にするよう求めてきた旧法の違憲性や問題を放置した政府の責任には言及しなかった。

 「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に不妊手術を推し進める旧法が成立してから71年で、ようやく国会と政府が救済に動く。救済法は24日に施行され、早ければ6月に一時金の支給が始まる見通し。

 ただ、一時金の金額や救済対象の範囲、救済策の周知方法などをめぐり、救済法の内容と被害者側の主張には大きな隔たりがある。

 首相は救済法成立を受け、閣議決定を伴わない「首相の談話」を発表。被害者が「心身に多大な苦痛」を受けたことに対し、「政府としても、旧優生保護法を執行していた立場から、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわび申し上げます」とした。また「全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、最大限の努力を尽くす」と強調した。

 救済法の前文には「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする」と記してあるが、違憲性などには絡めない形となっている。首相の談話は、この前文をなぞる内容だった。

 被害弁護団の新里宏二共同代表は24日に記者会見し、救済法成立を「被害回復の第一歩」と評価。首相の談話については「内容は不十分だが、一国の首相が優生被害に向き合ったことを評価する」と述べた。

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