「満のいない生活、気が遠くなる」遺族がともし続ける光

有料記事

岩田恵実
[PR]

 兵庫県尼崎市で2005年4月、JR宝塚線福知山線)が脱線し、107人が死亡した事故は25日、発生から14年になった。昨年9月に「祈りの杜(もり)」として整備された事故現場には、事故を伝える資料のほか、遺族が寄せた手紙や追悼の気持ちを込めた品々を展示する施設ができた。追悼慰霊式で「慰霊のことば」を述べた斉藤百合子さん(76)が、亡くなった長男の満(みつる)さん(当時37)にあてた手紙も紹介されている。

 「いってきます」「ただいま」。仏壇の遺影に声をかけるのが、斉藤さんの日課だ。日々、満さんと一緒に暮らしているように感じているが、悲しみが消えることはない。

 《満の居ない私達には本当に虚(むな)しい悲しい十三年です。これからも一生こんな生活が続くと思うと気が遠くなりそうです》

 昨年8月、満さんにあてて書いた手紙に、斉藤さんはそんな心境を打ち明けた。満さんは思春期になっても一緒に買い物に行き、母親に似合う服を探してくれる優しい息子だった。

 「一緒にでかけてよ」。たまらなくなって遺影に声をかけるが、願いはもうかなわない。

 別れは突然だった…

この記事は有料記事です。残り562文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら