元社員が語るフラット不正「年収400万円超は富裕層」

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藤田知也
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 住宅金融支援機構のローン「フラット35」で、本来は投資用なのに居住用と偽って融資を引き出す不正が発覚した。関与したマンション販売会社の元男性社員(50)が朝日新聞の取材に応じ、なぜ不正に手を染めたのかなどを詳細に語った。主なやり取りを紹介する。

 ――どんな不正をいつから始めたのか。

 元社員 2015年に中古マンション販売会社に中途で入った。その翌年から、何人かの仲間(仲介業者)と一緒に今回の仕組みで物件を売るようになった。フラット35の融資で顧客に投資物件を買わせ、20年間の家賃保証もつける方法だ。物件価格を水増しして多額のお金を引き出せば、自己資金ゼロで借金の帳消しやキャッシュバックをセットにできる。

 ――投資目的なのにフラット35を悪用した融資案件はどのくらいあるのか。

 元社員 私の会社が売り主の物件で150件前後ある。似た取引はほかにもあるようだ。

 ――客は誰がどう集めたのか。

 元社員 私や仲間がいろんな紹介者とつながっていて、紹介者が客を連れてきてくれる。ブローカーと言ってもいい。私たちの条件をもとにして、投資セミナーとかネットとか、あちこちで勧誘していたようだ。

 ――取り次ぎ金融機関の審査をどうくぐり抜けたのか。

 元社員 客に「自分で住む」と申告させ、住民票を購入物件に移す。「住民票は最低6カ月は置いとけ」と言っていたが、もっと短期間で元の住所に戻す人もいた。

 ――機構から郵便物が定期的に届くのでは?

 元社員 所有者あての郵便物は管理会社などに転送されるよう設定した。機構から「転送不可」の郵便を送られていたら、この不正は成り立たなかったかもしれない。

 ――取り次ぎ金融機関の担当者は関与していないのか。

 元社員 三つの金融機関を使ったが、担当者は不正を直接は知らなかっただろう。業者がわざわざ「投資用」と明かすことはないからだ。ただ、独身の若者の融資案件を続々と持ち込むのは怪しいでしょ。少しも疑わないってことがあるのかなという思いは、正直言ってある。

 ――どんな客が多かったのか。

 元社員 多くは独身で、20…

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