ブログで演じた幸せな食卓 夫が発病、でも信じたかった

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斉藤寛子
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 その日の夕食は、カレーだった。

 ニンジン、トマト、ズッキーニ。写真映えするよう、具をカラフルにして大きめに切った。テーブルクロスは、赤と白のチェック柄を選んだ。

 夫婦の食卓を完成させ、ブログに載せる写真を撮った。フォロワーは10万人近い。サイトを更新すると、次々と「いいね」が押された。

 ブログの写真と現実の食卓の間にズレが生まれるようになってから、2年ほどがたっていた。

 大阪府の主婦、小塚百合香さん(57)がネット上で食卓の紹介をはじめたのは、2012年。北欧食器の洗練された使いこなしと、あたたかみのある家庭料理が人気を集め、レシピ本を出すまでになった。

 16年の秋。夫が転倒し、深夜に顔を血だらけにして帰宅した。左足に違和感があると言う。大学病院を受診するとALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。

 頭の中が真っ白になった。夫が検査入院から自宅に戻った日のブログに、〈パパさんが長い出張から帰ってきました〉と書いた。小さなうそだった。

 左足、右足、左手。夫の病気…

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