山梨の肝がん死亡率、なぜ高い? 改善へ人材育成10年
かつて山梨県内はC型肝炎の感染率や肝がんの死亡率が東日本で最も高かった。が、患者の相談に応じたり受診を勧めたりする肝疾患コーディネーターの制度を他県に先駆けて導入するなど対策を進め、近年は全国平均に近づいている。コーディネーター養成が10年目を迎えたのを機に、肝炎対策の現状を取材した。
今年1月10日、2018年度の肝疾患コーディネーターの修了証書・認定証授与式が中央市の山梨大医学部であった。付属病院の井上泰輔・肝疾患センター長らが、一人ひとりに証書を手渡した。
身延町福祉保健課の菅有彩さん(24)が代表で「責任の重さを感じる。役割を十分認識し、それぞれの職域で活動に取り組んでいきたい」とあいさつした。
C型肝炎はウイルスが原因で起こり、治療しないと肝臓がんに結びつく恐れがある。
コーディネーターは、患者に受診を勧めたり、就労の相談に応じたりするのが主な役割だ。1時間の講義を8コマ受講し、試験に合格すると県から認定証が交付される。今回33人が加わり、計384人になった。認定を受けた後も、日進月歩の治療や薬の知識を学ぶための研修が年1回ほど開かれている。
看護師や保健師、薬剤師など医療関係の資格を持つ人が中心だが、ここ数年は社会保険労務士も増えている。県社会保険労務士会の会員約180人のうち、これまで21人がコーディネーターに認定された。
会長の石原嘉彦さん(83)もその一人。肝炎の相談会などで患者の経済問題の悩みに答えたり、支援制度を紹介したりしている。「職場での偏見を恐れて今も肝炎を隠している人や、経済的な苦境にある人も多い」と明かす。
中小企業では休職制度がなく、肝炎が退職に結びつく例もあるという。「きちんと治療すれば治る病気なのに、貴重な人手を失えば企業にもマイナスになる。休職制度などについて企業にアドバイスする際に、コーディネーターとして身につけた最新の治療法などの知識が役に立つ」
住民に健診徹底
県内でC型肝炎の感染率が高…
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