「殺処分ゼロ達成」増える?定義変更、判断は自治体任せ

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専門記者・太田匡彦
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 犬猫の「殺処分ゼロ」を達成した――。こう発表する自治体が相次ぎそうだ。環境省が今年度から、「攻撃性がある」などと判断した一部の犬や猫を「譲渡不適切」などとして、殺処分しても、全体の殺処分数から除く数え方に変更するためだ。だが専門家からは、「どんな犬や猫を譲渡不適切とするかが自治体の裁量に任され、『ゼロ達成』が目的化する恐れがある」と、統一的な基準の整備を求める声が上がっている。

 東京都は4月、18年度に「犬猫殺処分ゼロ」を達成したと発表した。犬については3年連続、猫については初めてゼロになったという。

 13年施行の改正動物愛護法には、都道府県などの自治体は「殺処分をなすくことを目指す」という条文が盛り込まれた。このため多くの自治体が民間団体などと協力し、収容した犬猫の譲渡先を探し、「殺処分ゼロ」を目指している。

 環境省は毎年、この殺処分数を各自治体に調査し、統計データを公表している。しかし、15年度分の調査からは、「譲渡することが適切ではない(譲渡不適切)」と判断したものと、収容中に「傷病死」したものを、試行的に分類して集計するよう自治体に求めてきた。同省動物愛護管理室は「譲渡に適した個体を顕在化する効果がある」と説明する。

 同省が「試行的分類」を要請したのと前後し、自治体側が殺処分数から「譲渡不適切」や「傷病死」を除いて、殺処分数を発表する事例が出てきている。

 東京都の場合、18年度に新…

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