初の女性市議誕生でも、なお残る「女のくせに」 垂水市
女性市議が一度もいなかった鹿児島県垂水市に「1人目」が誕生した。市制施行から約60年、女性の政治進出を阻んできた「壁」を初めて乗り越えた。ただ、当選は2人のうち1人だけ。候補も有権者も壁がなお存在することを改めて実感した。
「女性だから寄り添える課題を市議会に届けていく。1人でも女性市議が増えるようにしていきたい」
初めての女性市議になることが決まった池田みすずさん(45)は22日、意気込みを語った。この日朝、当選証書を受け取った。任期は30日から始まる。
元税理士事務所事務員の池田さんは、市の財政に不安を覚え、立候補を決めた。1月の市長選では現職陣営を手伝い、従来の選挙手法に触れた。親族らを通じて自らが住む地域の票を掘り起こし、企業に支援を依頼する――。知名度はなかったが、696票を得て、3位で当選した。
「垂水に女性市議を」という声も後押しした。池田さんに投票したという50歳代の女性は「垂水の女性は奥ゆかしさが大事とされてきたが、トップを女性が務める国もある。世界に続けるように、この小さいまちにも、男女平等が広がってほしい」。
もう1人の女性候補、高橋理枝子さん(53)は355票を得たが、24票及ばずに次点で落選。
「『物言いがきつい』『女のくせに』と言われることもあった。自分の個性を抑えて戦うことはしないという気持ちだった」
落選が決まった21日午後1…