母奪ったバス事故なくしたい 執念の息子は白バイ隊員に

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森岡航平
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 群馬県藤岡市関越道で乗客7人が死亡したバス事故から29日で7年になる。母直美さん(当時44)を失った山瀬俊貴さん(26)はこの春、群馬県警の白バイ隊員になった。「交通事故の抑止に一番貢献できる」。そんな信念を貫き、2度目の挑戦で選ばれた。重さ約290キロ、1300ccの大型バイクの扱いは簡単ではないが、「早くバイクを自分の手足のように扱えるように」と技術を磨く。

 山瀬さんは石川県能登町出身。親元を離れて岐阜県内の大学に通っていた2012年、母が事故の犠牲になった。高校生だった妹のテニスの試合の応援に行くため、乗り合わせていた。

 母を失った若者に寄り添い、心の支えとなったのが被害者支援を担当した群馬県警の警察官だった。山瀬さんは警察官の道を目指すようになり、「お母さんが最後にいた場所だから」と群馬を働く場に選んだ。

 事故の3年後に採用されて以来、地域の治安を守る交番勤務や、容疑者と向き合う留置場での仕事も経験した。そんな中で目指したのは、路上での取り締まりや指導で交通安全を保ち、緊急時にはいち早く現場へ駆けつける交通機動隊だった。その中でも花形の白バイ隊員の志望者は多い。必要な専門技術を学ぶ研修への参加を17年に希望したが、落選。1年後に再び挑み、入隊を引き寄せた。

 「心が折れずに2年連続で希望を出す人はそういない。努力もかなりしたんでしょう」と、副隊長の川浦貴博警部(45)。山瀬さんは「白バイに乗りたい気持ちは揺るがなかった。どうしてもリベンジしたかった」と振り返る。母の命を奪ったバス事故の再発防止への思い。他の遺族の激励や応援。「やっとスタートラインに立てた。支えてもらった人たちの気持ちに応えたい」

 事故当時、山瀬さんら被害者…

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