脱ひきこもり、希望はどこに 「新卒」失った中年の戦略

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清川卓史
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ロスジェネはいま

 約61万人いるという中高年のひきこもり。「仮に中高年のひきこもりが働き始めたとして、そこに『希望』はあるのか」。自らに問いかけるようにつぶやいた言葉に、はっとさせられた。さとう学さん、41歳。中高年にさしかかったロストジェネレーションの一人だ。トータルで20年近いひきこもり、パワハラによる退職。様々な経験から得た生存哲学とは。

 さとうさんと初めて会ったのは昨年9月、「ひ老会」(ひきこもりと老いを考える会)のミーティングだった。ひ老会は、ひきこもりの高年齢化に直面する当事者、経験者、家族らが定期的に集い、語り合う場だ。

 「労働環境の悪化もひきこもり増加の理由になっているのではないか」「僕は働きたい。パワハラをなくして働く人を守ってくれ」

 ひきこもりと雇用環境の関連について、さとうさんが熱心に意見を述べていたのが印象に残っている。

 ひきこもりは、小学校3年生のときの不登校から始まった。いじめが原因だった。不登校を繰り返し、高校は中退。当時の大検(大学入学資格検定)に合格し、22歳で私立大学に入学した。だが大学も1年生で中退し、ガチな(本格的な)ひきこもり状態となったという。

 状態が悪いときは、布団とトイレとを往復するだけで食事も満足にとれなかった。カロリー補給のゼリー飲料だけで生きていた時期もあった。見えない格子に囲まれた「座敷牢」にいるような日々。30歳で死のうと考えていた。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

 保健師や精神科医の訪問を受…

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