クリムト、作品に込めた「人生」 黄金様式と風景画

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森本未紀
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 金箔(きんぱく)を多用した装飾性豊かな作品で知られるグスタフ・クリムト(1862~1918)は、19世紀末のウィーンで自由な芸術表現の道を切り開いた。画業の全貌(ぜんぼう)を紹介する「クリムト展 ウィーンと日本1900」が23日から、東京・上野の東京都美術館で開幕する。宝石のように豪華絢爛(けんらん)で、女性や生命に深いまなざしを向けた作品の数々が生まれた街を訪ね、彼の人生を追った。

 誰もが知る黄金の作風は、すぐには生まれなかった。クリムトは1883年、弟のエルンストと画家仲間のフランツ・マッチュと共同で、室内装飾を手がけるアトリエ「芸術家カンパニー」の経営を始めた。ちょうど、ウィーンの市街地が再開発されていた時代。今も残る、美術史美術館やブルク劇場の壁画などを手がけた。

 ブルク劇場がオープンした88年と同時に完成した天井画「タオルミーナの劇場」は、カンパニーによるものだ。シチリアの保養地にある古代劇場を描いている。初期はこうした正統派の古典絵画を描き、才能はすぐに認められた。

 だが、弟が早世。クリムトは…

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