「ロスジェネ女性は路上で発泡酒」雨宮処凛さん窮状訴え

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編集委員・真鍋弘樹
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ロスジェネはいま

 「ロスジェネと呼ばれてうれしかった」。この世代の代弁者として発言を続けてきた作家、そして活動家の雨宮処凛さん(44)。ときにロスジェネやワーキングプアのミューズ(女神)と呼ばれる彼女は言う。私たちは、「奪われた世代」だと。

 《就職氷河期に世の中に出た世代の人たちは、ロスジェネと呼ばれて、どう思ったのだろうか》

 私たちは、多くの職種で派遣労働が認められた派遣法の改正を一番にくらった世代です。私自身も、1993年に高校を卒業し、美大を目指したがかなわず、19歳でフリーターで社会に出ました。大卒の同世代は97年に就職活動をして苦労しています。バブルが崩壊し、みんな腰掛けのつもりで非正規を選んだんですが、これほど不況が続くとは考えていなかった。

 つまりは使い捨て労働力とされていたのに、甘えているだけだと思われてきました。人間力が足りないとか、本人がだらしないので就職できないとか。モラトリアムや夢追い型フリーターだとされ、雇用問題だと気づかれなかった。若者バッシングで「携帯を持ったサル」とまで言われて、まるで人間として見られていないように思いました。

 その意味で、ロスジェネと言われて逆にうれしかった。自分たちの責任じゃないことがようやく理解されたと感じたから。この自分の苦しさは、自分だけの問題ではないんだと気づくことができました。

 でも、「ロスト=失われた」世代というより、「奪われた」世代という感覚があります。結婚、就職、子育て、家など親世代が持っているものをすべて持っていない。人生設計ができず、ローンも組めない。鎌田慧さんのルポ「自動車絶望工場」で描かれている工場労働者の期間工の方が、派遣よりも稼げてうらやましいぐらいです。

就職氷河期に社会に出た世代に、「ロストジェネレーション」と名付けたのは、朝日新聞です。40歳前後となったロスジェネは今も不安定雇用や孤立に向き合っています。生き方を模索する姿を伝え、ともに未来を考えます。

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 《朝日新聞で連載したロスジ…

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