「タリフ・マン」トランプ氏、再選へ対日強硬策のリスク

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ワシントン=青山直篤 西山明宏
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 日米貿易交渉の当面の対象となる「土俵」が定まった。早期合意で日米の思惑が一致し、日本は比較的闘いやすい形に持ち込めてひとまず安心した格好だ。ただ、トランプ米大統領の通商外交は、2020年大統領選挙の戦略の色彩を強めている。米内陸部の製造業・農村地帯の底堅い支持を背景に、強硬策を打ち出すリスクは消えない。

 「早期にいい成果を出したいということで互いに一致した」。茂木敏充経済再生相はワシントンで16日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との2日間の初会合を終え、そう語った。

 交渉範囲を狭めて交渉を急ぎたいとの思惑は、米側に強い。2月にかけ、米国を除く「TPP(環太平洋経済連携協定)11」や、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が相次いで発効。牛肉や豚肉を中心に、日本を重要な輸出先とする米農業界は豪州や欧州に比べて関税面で不利になり、日米交渉が長引けばますます打撃が広がるからだ。

 一方、米政権が離脱したTPPの多国間の枠組みにこだわる日本は、昨年9月、不本意ながら二国間の貿易交渉入りに応じた立場だ。協議を急ぐ理由はないが、交渉範囲を狭められるのなら、「大幅な譲歩を迫られる日米の包括的な自由貿易協定(FTA)との印象を避けたい」との思惑にかなう。

 昨年9月の日米共同声明では、交渉は2段階で進めることとされた。今回の会合では、当面の第1段階で議論する対象は、農産物や自動車などの物品のほかは、デジタル貿易のルールづくりにとどめることで合意。電子商取引でのデータの自由な流通などの規定が想定されるが、「中国などと違い、日米間で障害となるテーマはない」(政府関係者)。範囲を広げずに早く成果を得るため、日米で合意に至りやすい分野を選んだことになる。

 在日米国商工会議所のクリストファー・ラフルアー会頭は、自動運転の導入に向け自動車でもデータの重要性が増すことに触れ、デジタル貿易を交渉対象に含めることで「日米企業が互いの市場に安心して投資できるようになる」と話す。

 ただ、第1段階で合意をまと…

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