代替わりで恩赦 法廷で「人権侵害」訴える機会断たれる

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黄澈
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 5月の皇位継承を祝う動きが広がる中で、重苦しい記憶とともに迎える人がいる。かつて外国人登録法で義務づけられていた指紋押捺(おうなつ)を拒み、刑事裁判を闘った在日韓国人2世、韓基徳(ハンギドク)さん(61)だ。30年前の代替わりで望まない恩赦を受け、法廷で「人権侵害」を訴える機会を断たれたからだ。

 愛知県清須市出身。北海道大学の学生だった1981年、「日本で生まれ育ち、犯罪者でもないのに、なぜ指紋をとられなければいけないのか」と、押捺を拒否している在日の女性と知り合い、衝撃を受けた。「なぜ俺は言われるままに押してきたんだ」と自問した。

 翌年1月の外国人登録証更新の際、韓さんは札幌市の区役所で、職員に告げた。「押しません」。刑事告発され、実家に戻った後の83年9月、外登法違反の罪で在宅起訴された。

 84年2月からの名古屋地裁での公判で、韓さんは「押捺拒否は日本政府への異議申し立てだ」と訴えた。「法務省は『指紋は本人の同一性確認のために必要』との説明だったが、うそだ。本当の狙いを暴く」と決意していた。

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 韓さんは同年9月の公判を忘…

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